過活動膀胱でお悩みの方
過活動膀胱でお悩みの方
頻尿や失禁による日常生活への影響は深刻です。
過活動膀胱を乗り越えて海外旅行やコンサートへ心配することなく行ってみませんか?
過活動膀胱の症状
「おしっこの回数が多い(頻尿)」「おしっこをしたいと思ったら漏れそうで我慢できない(切迫感)」。このような症状を捉えて過活動膀胱と診断します。一般的には、排尿回数が1日8回以上かつ尿意切迫感が週1回以上と定義されています。
過活動膀胱の患者さんは、我慢ができずに漏らしてしまうこともあります(切迫性尿失禁)。50mlほどの少量の尿が貯まっただけで膀胱が過敏に反応し、急激に強い尿意が発生します。
このような症状は、細菌性膀胱炎、膀胱結石、膀胱がんなどでも起こりますが、これらは過活動膀胱とは診断されません。原因となる病気の治療により頻尿や切迫感は治すことが出来るからです。血尿が無いかどうか、尿に細菌や白血球が無いかどうかを調べる検尿が診断の入口となります。
過活動膀胱症状スコアを使って、可能性があるかどうかをご自身で診断してみて下さい。
過活動膀胱の診断基準は、過活動膀胱診療ガイドラインによれは、「尿意切迫感スコア(質問3)が2点以上、かつ、OABSS合計点スコアが3点以上」が推奨され、これは「1日の排尿回数が8回以上、かつ、尿意切迫感が週に1回以上」にも相当します。
検尿の仕方
診断には検尿が重要な検査です。おりものや外陰部の分泌物最も重要な検査は検尿です。おりものや外陰部の分泌物が入らないように中間尿という尿の採り方をします。出始めの尿で、おりものや外陰部の分泌物を先に便器に洗い流し、膀胱の尿を採取できる中間の部分の尿を採尿コップに入れます。このためコップ1杯程度は尿が溜まった状態で来院してください。
過活動膀胱の治療
過活動膀胱は薬が良く効く病気です。抗コリン剤とβ3アドレナリン受容体遮断薬があります。1日1回の服薬です。
膀胱の収縮には神経伝達物質のアセチルコリンがムスカリン受容体に作用することが関与しています。抗コリン剤は、膀胱平滑筋においてムスカリン受容体拮抗作用を示し膀胱の過緊張状態を抑制することと、膀胱平滑筋細胞内のカルシウム濃度を抑制することで膀胱平滑筋収縮を抑制することにより頻尿、切迫性尿失禁等を抑制する効果を現します。抗コリン剤にはベシケア、トビエース、バップフォーなどの薬があります。
β3アドレナリン受容体遮断薬には、ベタニスとベオーバという薬があります。膀胱平滑筋のβ3アドレナリン受容体を選択的に刺激し、膀胱を弛緩させることで尿を貯められるようにして、尿意を感じた途端に漏れそうになる切迫感や尿回数が多い頻尿と言った過活動膀胱の症状を改善させます。
口の中が渇いたり、便秘気味になったりする副作用が出る場合もありますが、十分な効果が期待できます。服薬した方からは、「尿のことが気にならなくなった」といった感想をよく聞きます。
口の中で崩れて飲みやすくなっている口腔内崩壊錠が用意されていますが、飲み薬が苦手な方にはネオキシテープという貼付薬もあります。
水分を制限したり、排尿する時間を決める行動療法も効果があります。ほかにも、おしっこをしたいと思っている時に我慢をすることで少しずつ我慢できる時間を延ばす「膀胱訓練」や、咳やくしゃみで尿が漏れる腹圧性尿失禁の患者さんに行う骨盤底筋群体操が過活動膀胱にも有効とされます。
過活動膀胱による日常生活への影響
過活動膀胱にかかると、外出すらしたくなくなります。「おしっこが我慢できない」という状況では、電車やバスなどの公共交通機関を利用することができなくなります。ましてや海外旅行などもってのほか…ということになります。
日本排尿機能学会の調査によると、2002年の時点で過活動膀胱に罹患している40歳以上の日本人の数は、810万人と推定されています。にもかかわらず、医療機関で受診している人は、このうち約2割しかいないことが調査結果として報告されています。
過活動膀胱の診断と治療は決して恥ずかしいものではなく、治療すれば早期に効果が表れます。過活動膀胱の悩みを解決すれば、日常生活は飛躍的に過ごしやすくなるでしょう。そしてあきらめていた海外旅行やコンサートにも行けるようになります。