膀胱炎でお悩みの方

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治療期間は4~7日。水分摂取と適切な治療で治ります。

膀胱とは


膀胱とは

膀胱(ぼうこう)は、お腹の上の方で背中側に左右一個ずつある腎臓でつくられたおしっこ(尿)を一時溜めておく袋のような臓器です。膀胱に100~150mlの尿が溜まると「おしっこをしたい」という感じ(尿意)が出てきます。400mlぐらいまで溜めることができ、都合に合わせて排尿します。

膀胱はこのように、おしっこを溜める働き(蓄尿)と、おしっこを体の外に排出する働き(排尿)の2つの機能があります。


膀胱炎とは


膀胱炎とは

膀胱炎は、尿路(おしっこの通り道)の感染症に分類されます。尿路の感染症は、人が経験する細菌による感染症の中で最も多いものです。特に女性が罹患する場合が多く、思春期を迎えた後、女性の半数が一生に一度は罹患する病気です。

症状が強いこともありますが、適切な治療を施すことにより、通常は4~6日で治ります。生命にかかわることはほとんどありません。


膀胱炎の種類


膀胱炎の種類

膀胱に炎症が起こった時に膀胱炎と診断されます。膀胱炎にはさまざまな種類があります。人の皮膚によくいる普通の菌が入り込むことで起こる「急性膀胱炎」、結核菌による「結核性膀胱炎」、子宮癌などに放射線治療をしたときに起こる「放射線性膀胱炎」、抗がん剤で起こる「出血性膀胱炎」などがあります。ほかにも原因不明で1日20回以上の強い頻尿を引き起こす膀胱炎もあります。


膀胱炎の症状


膀胱炎の症状

おしっこをする時に痛い(排尿痛)、何回もおしっこに行きたい(頻尿)、したいと思ったら我慢できない(切迫感)、おしっこをした後もすっきりせず残った感じがする(残尿感)、尿が出にくい(排尿困難)、下腹の痛み(下腹部痛)、おしっこに血が混ざる(血尿)などがあります。また、尿が透明ではなく濁っていたり、尿に強い臭いがするなどの症状が出ることもあります。

膀胱炎は膀胱粘膜の表層部分の感染症なので、腎盂腎炎などのように熱が出たりすることはありません。


膀胱炎の診断


膀胱炎の診断

尿沈渣顕微鏡写真

膀胱炎の症状が、いつから始まり、どのように経過したかなどを問診します。特に排尿痛、頻尿、残尿感、血尿などの症状が重要です。また発熱や腰痛がある場合、炎症が腎臓まで広がり、腎盂腎炎を起こしていることが考えられます。

最も重要な検査は検尿です。100ml程度は尿が溜まった状態で来院してください。検尿の後に腹部の診察をします。背中の後ろで左右両側にある腎臓を抑えた時、痛みがないか調べます。いずれも恥ずかしい診察ではありません。お早めにご来院ください。




膀胱炎を起こす細菌


細菌培養;

2018年4月と5月に新たに膀胱炎で来院され尿細菌培養を行った87名の女性患者さんの検出された細菌を集計してみました。最も多かったのは大腸菌で60例(69%)、続いてブドウ球菌7例(8%)、腸球菌5例(6%)、クレブシエラ属3例(4%)、大腸菌とブドウ球菌3例(3%)などの菌が検出されました。最も多かった大腸菌にはセファロスポリン系抗生剤のセフゾンが良く効きます。ニューキノロン系のクラビットは腸球菌など多数の菌に有効ですが大腸菌の一部には耐性を示す場合があります。適切な抗菌薬と飲水が膀胱炎を治すためには有効です。また、膀胱炎にならないためには尿を我慢せずに排尿する様にしましょう。


膀胱炎の治療


女性用トイレ

診察室

膀胱には感染を防御するシステムがあります。おしっこをすることによって細菌を体の外へ排出するほか、膀胱の粘膜が細菌に対する防御機能を持っています。これらの作用を効率よく働かせるためには、水分を十分にとって尿の量を増やし、膀胱の中で細菌が繁殖しないようにします。少なくとも1日10回は排尿するようにします。

さらに抗菌剤を服用して細菌をコントロールします。「ご飯を食べない時には飲まない」などと自己判断をせず、医師の指示通りに服薬してください。中途半端に服用すると薬が効かなくなる「耐性菌」が作られることもあります。

これらの治療で良くならない場合は、尿路に基礎疾患があることが疑われます。この場合、基礎疾患の治療をしなければ膀胱炎は治りません。また細菌感染がない原因不明の間質性膀胱炎を完治させることも困難です。この場合、下半身麻酔をかけての施術が必要となりますので、入院施設のある病院で治療しなければなりません。


薬の飲み方


薬の飲み方

待合室からトイレへ

玄関ドア

薬は、その特性によって効果的な服用方法が異なります。膀胱炎によく使われるペニシリン系やセファロスポリン系の抗生剤は、時間依存的に抗菌効果が増強します。つまり、細菌を殺すことができる血液や尿中の濃度を十分な時間保つことが重要なのです。

服用した薬は、時間が経過するとともに体外に排出されたり、代謝されることによって、薬物濃度が下がります。それをもう一度有効な濃度に上げるために再度服用します。一般的には、朝・昼・晩の毎食後、1日3回服用します。

空腹時に服薬するとどうなるでしょうか。薬は体によく吸収されるようになります。胃腸に対する負担は増えますが、副作用の頻度はそんなに高くありません。また食事をしないからといって薬を飲まなければ、その効果が限定的になってしまいます。場合によっては細菌が薬に対する抵抗性を獲得してしまう事もあります。

ニューキノロン系の抗菌剤は、濃度依存的に抗菌効果が増強します。「1日3回、毎食後」と処方されることはほとんど無くなり、最近は1回の服薬量を従来の1日量の1.5倍以上にし、1日1回服用する方法もとられています。


膀胱炎の原因


膀胱炎の原因

膀胱炎はほとんどの場合、尿道の出口から細菌が膀胱に侵入することによって起こります。そのため尿道の短い女性に起こりやすいことになります。最も多いのは直腸からの細菌です。便の中の細菌が外陰部の皮膚に付着し、尿を我慢した時や性交の際などに尿道から膀胱に入り込みます。

特に冷えや過労などが原因となり、膀胱の防御システムが十分な働きをしていないと感染しやすくなります。このほか、血液やリンパの流れを介して他の体の部位から感染する経路もありますが、重い合併症がある場合に限られます。


膀胱炎の予防


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以下の項目に注意して下さい。

  • 尿を我慢しないようにしましょう
  • 水分を多目に摂りましょう
  • 下腹部を冷やしたり、疲労やストレスをためないようにしましょう
  • 生理用品はこまめに替えましょう
  • セックスの前にはシャワーで清潔にし、終わった後は排尿しましょう
  • 排便後には前から後ろに拭きましょう
  • 排便後のウォッシュレットで洗浄液を尿道付近へ飛ばさないようにしましょう
  • 排尿ごとに尿道を洗浄するのは止めましょう